Interview with Maikiko Suzuki - La Maison de Vent 10th Anniversary - Interview with Maikiko Suzuki - La Maison de Vent 10th Anniversary -

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SALON adam et ropéはファッションに限らず、日々の暮らしをさらに充実させるフード・ライフスタイルをブランド発足以来、提案し続けてきました。今回ご紹介するのは、多岐にわたるセレクトアイテムの中でも常にお店を彩ってきた「La Maison de Vent(ラ メゾン デ ヴォン)」。陶芸家・鈴木麻起子さんが手がける陶器の数々は手にする人への優しさが具現化したような曲線美が魅力。長く愛される陶器についてお話を伺いたく、彼女のアトリエを訪ねました。

Makiko Suzuki / 鈴木 麻起子

2003年陶芸家を志し制作活動を始める。
2006年自身のブランド「Pot Blue」を設立。2009年「La Maison de Vent(ラ メゾン デ ヴォン)」 にブランド名を改名。
現在は、茨城県笠間市で制作を行っている。
自身のブランド「La Maison de Vent」では、セレクトショップを中心にコレクションを展開。作品の特徴としては、スタッキングのしやすさ、重ねても持ち運べる重さ、無造作においてもインテリアに溶け込むデザインなどが挙げられる。セレクトショップ、ファッションブランドとのコラボレーションも多く、生活に寄り添う器として人気を博している。

また、鈴木麻起子として、商業施設や宿泊施設、美術館などへの作品の制作も行なっており、アート作品として展示されている。

Instagram : https://www.instagram.com/lamaisondevent/

La Maison de Vent

ITEM CHECK

まず、10周年を迎えたSALON adam et ropéとの歩みの中で変化したことはありますか?

SALON adam et ropéさんとは、ブランドの立ち上げ当初からご一緒しています。そこでバイヤーの東方さんと出会い、現在までにさまざまな器を制作してきました。お打ち合わせを重ねるなかで、企画への着目点が、表面的なディテールの話からその先にあるライフスタイルやシーンに対してどう関わっていくかという話へ変わっていった印象です。

先にお話しいただいた<シーン>について、実際にどのような会話がありましたか?

東方さんとの打ち合わせの際、ご自身が家の中で使いたいもの、こんなのが欲しいとか無いですか?と良く尋ねるんです。
そうすると、子供が好きな唐揚げを作った時に平皿だと転がっちゃうし、ボリュームも少なく見える気がすると話されていたのが印象に残っていて、少し傾斜のついた器を作ってみたんです。
その器を見ていただいた時にすごく気に入ってくださり「ハーモニープレート」という商品の誕生に繋がりました。

手にする人の目線を常に考えながら作品作りをされているんですね。その源となるろくろを挽く作業の際のこだわりを教えてください。

まず、ろくろを挽く時には口角をあげて良い気持ちの状態でここに座れるよう心掛けています。
私の場合は自宅の掃除をすることが心地いいルーティンのひとつです。他にも洗濯をしたり犬の世話をしたりと、要するに家でひと仕事終えたぞ、とスッキリした気持ちでアトリエに向かうようにしています。本当にいろいろな人の支えがあって、この陶芸という仕事ができていると思っているので、ひとりのようでひとりじゃない気がするんです。
だからアトリエに籠っていても孤独感も無いんです。

やはり「La Maison de Vent(ラ メゾン デ ヴォン)」といえば鮮やかなターコイズブルーが象徴的ですが、特別なこだわりはあったのですか?

本当に偶然なんです。
私は芸大に通ったわけでもないし弟子入りしたわけでもなく、強いていえば叔母の陶芸教室の手伝いをしていて、そのときにこのターコイズブルーを目にする機会がありました。
実はこれは昔からある釉薬で、釉薬を勉強し始める段階で学ぶ基礎釉のひとつです。
加えて私がキャリアをスタートした時にこの色を使う人があまりいなかったんです。
なぜならこの色は変化が激しいので均一な色味が良いとされていた当時は食器では無く、大きな花瓶や傘立てに用いることが多かったと聞いています。
ただそんな経緯は置いておいて、ずっと好きなんですよね、この色が。

自然と生じる個体差の中から、皆さんに自分の好きなブルーを見つけて欲しいです。

いろいろとお話を伺いましたが、最後に今後どんな作品を作っていきたいですか?

ブランドロゴの下に、この作品の周りに笑顔が溢れる場所になりますように、とフランス語で書いてあるんです。
出会った人、クライアントの皆さんもしかり、すべてが私に力を与えてくれ、支えてくれています。
その恩恵に対して、私は作品を通して感謝を返していきたいんです。

あとは陶芸に興味の無い人たちに私の作品を見て触れてもらって、手作りのモノにぜひ興味を持って欲しいと思っています。
これは陶器に限らず、長い時間の中で培ってきた技術や経験、その蓄積で出来上がるモノに興味を持つきっかけになって欲しいです。

La Maison de Vent

ITEM CHECK

Photographer : Keishi Sawahira
Production : kayumi inc.

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